白い金の輪


 家出同然に出てきた生家には戻れない。
 私は町の近くにある村に住む伯母を頼った。

 深夜ずぶ濡れで訪れた私を、伯母夫婦は何も聞かずに迎え入れてくれた。

 翌日伯母から、両親が探していた事を知らされた。
 私は仕方なく家に戻れない事情を話す。

 話している内に涙が溢れて止まらなくなった。
 私は彼に裏切られたのだ。

 いや、そうじゃない。
 彼は元々そういう人だ。
 私に見る目がなかったのだ。

 子供のように泣きじゃくる私を、伯母は優しく慰め、家には一応連絡するが、気持ちが落ち着くまで、ここにいていいと言ってくれた。

 伯母夫婦には子供がいない。
 けれど決して裕福なわけではない。
 食いぶちがかさめば、それだけ家計に負担が掛かる。

 家計の足しになる仕事を何も出来ない私は、せめてもの恩返しに家事を率先して手伝った。

< 4 / 15 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop