白い金の輪
家出同然に出てきた生家には戻れない。
私は町の近くにある村に住む伯母を頼った。
深夜ずぶ濡れで訪れた私を、伯母夫婦は何も聞かずに迎え入れてくれた。
翌日伯母から、両親が探していた事を知らされた。
私は仕方なく家に戻れない事情を話す。
話している内に涙が溢れて止まらなくなった。
私は彼に裏切られたのだ。
いや、そうじゃない。
彼は元々そういう人だ。
私に見る目がなかったのだ。
子供のように泣きじゃくる私を、伯母は優しく慰め、家には一応連絡するが、気持ちが落ち着くまで、ここにいていいと言ってくれた。
伯母夫婦には子供がいない。
けれど決して裕福なわけではない。
食いぶちがかさめば、それだけ家計に負担が掛かる。
家計の足しになる仕事を何も出来ない私は、せめてもの恩返しに家事を率先して手伝った。