ポケットに婚約指輪
「ほら」
「……や」
「ヤじゃないでしょ。待ってたんじゃない?」
服の上からこすられるだけで、反応している体。
どんな否定の言葉も説得力はない。
そのまま引きずられるように奥に入り、ベッドに押し倒される。
「や、だめ」
「なんで。感じてる癖に」
「やめて」
「寂しかったんだろ? 俺と別れてから」
そうだけど。
たとえ今抱かれたとしても、あなたは私のものにはならないくせに。
「でも、不倫はイヤです」
「まだ言ってんの? 今更デショ。江里子を騙してるのは一緒じゃん」
皮肉げに笑う。
それがとても嫌だった。
【強くなれば?】
彼の声が頭に響く。
嫌なことは嫌だと言わなくちゃ通じない。
精一杯の力で、舞波さんに抵抗する。
「でもイヤなんです」
「それなら一番最初に断らないと、説得力ないよ」
ブラウスのボタンが外されて、首元にキスをされた。
そのまま彼は私の胸元に唇を移動させる。
キャミソールも下着も、機械作業をこなすようにめくり上げて、その頂点を直に啄まれる。