ポケットに婚約指輪


「……私、綺麗ですか?」

「うん。笑うともっといいけどね」

「変われると思いますか?」

「それは分からないけど。変わろうとすればいいのにって思ってる」

「……里中さん」


地味で、大人しくて、人の言うこと聞いて。
それがずっと私に求められているのだと勝手に思い込んでいた。

変わってもいいの?
変わることは出来るの?


「私、ホントは刈谷先輩が苦手です」

「そうだろうねぇ。彼女アクが強いし」

「でも逆らえないんです」

「どうして?」


どうしてだろう。
そう問われてみれば理由なんかあっただろうか。
重ねた日々の中で、いつしか彼女の言いなりになるのが当たり前になってた。


「嫌なことは嫌って言ったらいい」


里中さんがくれる言葉は、ともすれば無責任とも取れるだろう。
いつもの私なら、それを否定的にしか取れなかったと思うけど、今日は違う。

なぜだろう。
見た目が少し変わるだけで、こんなに気持ちは変わるもの?

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