ポケットに婚約指輪



【気をつけて行けよ。帰り迎えに行くから連絡頂戴】


定時間際に来たメール。
行く前から帰りの心配をされていることがおかしくて笑っていると、脇から刈谷先輩が覗きこんでくる。


「あら、お熱いこと」

「や、見ないでください」


携帯を隠す私を、刈谷先輩は舐めるように見る。

その視線が、なんだか怖いのですけど。



「里中くんって結構束縛する方だったのね。あんなにクールそうな顔してるくせにさー。菫、息苦しくなんない?」

「いえ?」

「あらそう。まあでもさ、たまの合コンよ。張り切って行きましょ」

「いえあの」



別に私は張り切らなくてもいいのですけど。


「ほら、化粧直しに行くわよー!」


気合十分の刈谷先輩に逆らえるはずはなく。一緒に化粧室に連れ込まれ、なぜだかメイクまで直されて、一見とても気合の入ったスタイルの私が出来上がってしまった。

なぜかしら。私、目立たずに時間だけ潰せればそれでいいのに。

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