ポケットに婚約指輪



 待ち合わせ場所はちょっとおしゃれな洋風居酒屋だった。


「学生時代の友達とその同僚」


舞波さんが紹介してくれた男性陣は、近くの証券会社に務める男性4名だ。対して女性陣は刈谷さんを筆頭に、人事総務部の女性社員5人。それぞれが自己紹介を終え、男女交互に席に着くことになった。
 

「舞波さん、隣いいですか」


 とりあえず舞波さんの隣を確保しよう。私に恋人がいることを知ってて、なおかつ今更言い寄ってくるわけが無い相手なので安心だ。


「塚本、飲んでる? 今日はガンガン飲めよー」

「はい。それより、舞波さんいいんですか? 合コンとか、江里子怒りません?」

「会社のヤツと飲み会って言ってあるから。あながち間違いじゃないでしょ。女性陣は俺にとっては全員同僚だもん」

「はあ。まあ、そうですね」


しれっと言い放つところは相変わらずというか。


「菫もたまには息抜きなよ」

「あの。呼び名」

「ああ、そうだ。里中に怒られるんだった」


一杯目のビールを煽るように飲んで、おつまみに手をだす。
すぐに次のビールを頼んだ舞波さんは、私の肩をぐっと引っ張る。


「まあでもたまにはいいじゃん? ほら、里中だって言ってたじゃん。仲良けりゃ名前で呼ぶんじゃないって」

「ええでも、あれは」


私の窮地を救おうとしてくれただけですけど。


「俺達ナカヨシじゃん? たまに彼氏のいない飲み会来た時くらいさぁ。ほらもっと気を楽にして」

「あの」

「いや、菫ホント綺麗になったよね」


なんだか無駄にスキンシップが多いような……。
もしかして、舞波さんはちっとも安全じゃない?


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