BrandNewDay
 僕は話を変えた。あまりその話題はしたくなかった。

 「うん」
 「だな」

 3人で教室のドアをがらりと開けると、千鶴の席には花瓶に綺麗な花がさしてあった。

 ………。千鶴は教室の奥にいた。でも、僕が来た瞬間ぴくり反応したが、ふいっと顔を背けられた。

 「蓮…?」
 「おい、どうした?」

 芥と蛍が声をかけるにもかかわらず、僕は思った。

 …………気づいてない?千鶴は教室の奥にいるのに。教室にいる人たちも千鶴に気がついていない。

 「千鶴っ!」

 僕は千鶴の近寄ろうとして行こうとするけど、千鶴は教室から走って逃げていった。

 「おいおい、どーしたってんだ?」
 「ついに幻覚でも見えたとか?」

 幻覚だったらまだいい。でも幻覚なんかじゃない。千鶴には何かある。何かがわからないから、真相が分かるまで僕は千鶴を探りだそう、とそう考えた。

 「ううん、なんでもない」

 僕は首を横に振って、席に着いた。

 「きっと千鶴がいなくなったから、寂しいんだよ蓮」
 「オレたちよか仲良しホモちゃんだったからなー…」

 芥と蛍は、しみじみと僕を見て言う。

 「ホモじゃないってば!」

 「「じゃ、カップル?」」

 にやりと二人で笑う芥と蛍。…なんで二人ともそういうところだけハモるんだろ……。

 「あのねー……」

 顔がひきつる僕を見て、二人は…

 「ほら蛍が変なこと言い出すから蓮が…」
 「ンだよ、芥だってカップルとか言ったじゃんか!しかもハモるな!」

 と、妙な喧嘩をし始める。

 「オレはただ思いついたことが言葉に出ただけだもん、オレだってハモりたくないのに蛍が余計なこと言うからでしょ」
 「はぁ?芥だって、ホモだとか前言ってたじゃんか!オレは悪くねーし!!」

 ………ぴきっ。

 「あー!!もう二人ともうるさいっ!何で、僕と千鶴がホモになるわけ?というか芥もホモって言ってたんだね?」
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