BrandNewDay
 学校へ着くと、靴箱には僕宛ての手紙しか入っていなかった。もう学校中に、千鶴が亡くなったことが広まったのだろうか?

 「よぅ、蓮!」
 「おはよう」

 考えているときにトンっと両肩を叩かれ、僕は少し驚いて振り向く。

 「あ、芥(かい)と蛍(けい)…おはよう」

 千鶴と僕の幼なじみでもあり、親友の高城芥(たかぎかい)と高城蛍(たかぎけい)だった。顔は全くの瓜二つ。でもやっぱり性格で分かる…かな。この二人も学校で人気があった。顔は似てるからよく間違われたりしてる。

 「あの…千鶴…亡くなったみたいだね…」
 「オレたちさ、昨日葬式行きたかったけどさ、やっぱり学校行ったんだ…」

 二人はすごく悲しそうな顔をして言う。

 「また、千鶴の家に行ってさ、線香燈しに行かないとね」
 「ああ、つか蓮、大丈夫か?お前とあいつってホモかっつーくらい仲良かったから、お前かなりショック受けてるだろ?」

 芥が千鶴の家で線香燈そうと言ったほうで、蛍がちょっと男らしい発言をするほう。で、微妙に芥は優しめ、蛍はバサバサした感じ。

 「千鶴、きっと喜ぶよ線香燈しに行ったら。って蛍!ホモってゆーな!そりゃあ、ショックは受けるけど大丈夫だよ」

 ……喜んでくれるかと言ったらそれはないかもしれないと、心の中で僕は呟いた。あいつは、まだこの世にいるのだから。そしていま大丈夫なのは、あいつがまだここにいるから…それが理由だった。

 「でもさー、あの千鶴があり得ないよねー。いつもオレたちのことドッペルゲンガーズとか意味わかんないあだ名つけてさぁ」
 「くくっ、だよなー。でも轢(ひ)かれそうになったらあいつ運動神経良いんだから避けれそうじゃん?」

 確かに千鶴は運動神経抜群でクラス一番の体育系のプロとでもいいたいくらいだった。それを考えると大型トラックでも避けきれそうな神経なのに……。

「まあ…さ、教室行こうよ」
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