BrandNewDay
 千鶴が指差したアクセサリーショップのショーウインドー。ネックレスやピアス、指輪などがチカチカと輝いている。

 「あれ、蓮が好きそう!」

 ショーウインドーの近くに来て、千鶴はふわり微笑む。千鶴が目にしたらしいものは…イチゴショートケーキのシルバーネックレス。しかも青いキラキラした石が入ってて、すごく可愛かった。

 「わぁ可愛いー!って千鶴、僕男なんだけど!」

 可愛いネックレスに笑顔がこぼれる。でも僕はすかさずツッコミを入れる。

 「え…?だってイチゴショート好きだし、青い石入りだし、蓮が好きそうなやつだろ?」

 千鶴はショーウインドーの中を見ながら言う。

 「イチゴショートは大好きだし、青色好きだけど…男がネックレスってどう?女の子じゃないんだし」

 「俺はいいと思うけどなー…ていうか男女関係ないだろー?(蓮がしてたら絶対可愛いし)」

 そんなことを言う千鶴に僕は値段をちらりと見た。

 「欲しいっちゃあ欲しいけど、可愛いし…高っ!今、持ってるお金じゃ買えないよ!」

 僕のお金は、カラオケ、ゲームセンターで使ってもう小銭が少しあるくらいだった。

 「あ…本当だ…高いなぁ…」

 「ま、今日は無理だけど次でいいって!」

 僕が言うと、千鶴はがくりと肩を落とした。

 「なんで千鶴ががっかりするのー?ほら、帰るよ」

 「待て!俺が払う!!」

 千鶴は財布をあたふたと取り出し、中を確認する。

 ちゃりーん…

 出したお金は348円。

 「俺もないや…」

 「いや、だからいいって言ったじゃん…ていうか千鶴に払ってもらうのは申し訳ないよ」

 ますます落ち込む千鶴に、僕は肩をポンポンとして宥(なだ)める。

 「でも……」

 「ほら、早く帰るよ」

 千鶴は何か言いたげだったが、僕が歩きだした為に後についてきた。

 日曜は、特になにもなかったのに。日曜日の次の日、僕が千鶴の死を聞いた月曜日。つまり、あの日曜日の帰った後に千鶴は死んだ。それなのに、昨日は日曜日死んだはずの千鶴は僕の前に表れた。

 でも、千鶴は何か僕に怨念があるのかな…?でも、あの濃い青の瞳は僕を睨んでいた。きっと…いや絶対何かあるハズだ。
< 7 / 45 >

この作品をシェア

pagetop