赤き月の調べ


 ところが歩き出そうとした瞬間、ぞくぞくする寒気に襲われ立ち止まった。


 風が吹いた訳でもなければ、まだ十月のはじまりで寒くなるにはまだ早い。


 風邪でもひいたのかとも考えたが、喉の痛みや咳、くしゃみなんかの風邪の症状は特になかった。


(でも、早く帰ってベットに入ろう)


 そう考えて帰路を急ごうとした直後、圧迫と息苦しさに襲われた。


 一瞬の出来事に、希空は自分でも何が起こったのかわからない。心臓は早鐘を打ち、ストレスから上手く呼吸ができなくなっている。


 冷静になろうと考えていると、低くざらついた声が耳元で囁いた。


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