甘い蜜
店員に案内されて席につくと、凛は当たり前のように智哉の隣に座った。
そうなると、あたしは翔琉と並んで座るしかない。
気付くと、店の中と同じ位置に4人共座っていた。
指名客の隣に座る。
アフターという事を思い出せば、それは当たり前のこと。
でも何故か翔琉が相手だと、店の外でも隣に座れることに喜ぶ自分がいた。
ーーー何故だろう。
さっきは手を繋いだだけで、嬉しかった。
あたし、何喜んでいるんだ。
…きっと、今までアフターに誘わなかった翔琉とやっと外で会えたからだ。
翔琉との初めてのアフターに、ちょっと緊張してるだけ。
そう自分に言い聞かせていた。
ドリンクが運ばれたところで、
「おつかれー!」
と、4人で乾杯。
店の中だと主に一番喋るのは智哉。
でも店の外だと、翔琉もよく喋ることに気づいた。
「これ、うまい。食う?」
チーズオムレツをあたしに差し出す翔琉。
一口食べると、翔琉の言う通り美味しかった。
「うん。これおいしい」
店の中よりも自然に話せることに、やっぱりあたしは嬉しく感じていた。