甘い蜜
「翔琉の負けー!」
3回連続で負けた翔琉に、あたしは濃いめの緑茶割を手渡す。
「翔琉、ゲーム弱いんだね」
あまりの弱さに、あたしは笑いが零れる。
「…お前らが強いだけだろ」
そう言って翔琉は、グラスの中の酒を飲み干す。
ーーーよかった。
ゲームを始めて、さっきよりは翔琉と普通に話せるようになった気がした。
「めっちゃ濃いんだけど、この酒」
空になったグラスを、あたしに返す。
「負ければ負けるほど、濃くなるの」
あたしはグラスを受け取り、悪戯に笑った。
「じゃ、次負けたらロックな、翔琉」
智也が口をはさみ、凛が笑う。
「俺が勝ったら、お前ら3人ロックだからな」
翔琉は勝つ気満々で、4回戦目のスタートをきった。
「…ぷっ」
「まじかよ」
見事4回連続で敗北の翔琉に、あたしは焼酎のロックを手渡した。
「翔琉、ワザと?」
ロックを一気に飲み込む翔琉に、智也が茶化す。
「智也ももっと飲めよ」
翔琉が智也のグラスに焼酎を注ぎ込む。
「あ、ばか。やめろって」
二人のやりとりに、あたしと凛は笑った。