Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】
「うん。
って……あれ……」
唯ちゃんの視線が、
俺の後ろにいる
託実さんへと移動する。
そして何か言いたげなまま
その場で固まった。
「緋崎さん?」
「今、なんか
思い出せそうなんだけど
霧がかかったみたいで」
頭を抑え込むようにして、
ベッドにうずくまる唯ちゃん。
「緋崎さん、ゆっくりと
深呼吸して貰えますか?
はい。
無理しないでいいですよ。
今はゆっくり、心を休ませることが
大切ですから」
唯ちゃんの主治医が
そうやって、
声をかけながら落ち着かせていく。
注射の効果もあってか、
唯ちゃんは、やがて静かな寝息を立てて
眠りにつく。