Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】


悠久先生は
そう言うと
言葉を紡ぐのをやめて、
窓の外に視線をうつし、
ゆっくりと何かを
思い出すかのように
遠くを見つめた。



その見つめた先には、
隆雪さんが空に帰った
世界が広がっている。





暫くの沈黙後、
ゆっくりと
私の方を向き直った
悠久先生は悲しい表情を浮かべた。




多分、その沈黙の時間は
私が知らない隆雪さんの
交通事故から始まった
歪み始めた物語のはじまり。




「あの日は、隆雪君がTakaとして
 自分で決めたラストステージ。

 あのLIVEの後、、
 隆雪君は腫瘍摘出手術を受ける予定だった。

 だけど彼は、交通事故に巻き込まれ
 頭部挫傷で救急搬送。

 ステージで最後の演奏を
 しているはずの時間。

 隆(たか)は、この場所で予定とは
 違うオペを受けてた」





そんな真実を知らずに、
私はあの日、雪貴のTakaの演奏に
微かな違和感を覚えながら
Takaを思って叫んでた。



何も知らないままに。


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