Love Songを君に【Ansyalシリーズ TAKA編】






息が上がり、
心臓が飛び跳ねる。




時折、薄れていく意識は
更に死神の囁きを捕えていく。





足をもつらせて
顔を埋めたまま、
俺は意識を手放していった。














「雪貴っ!!いやぁー」








聞き慣れた声?







どうして……。



何故、
泣いてるの?
 






君は兄貴の元に
帰っていったはずだろ。











そう。


唯ちゃんはあの日、
兄貴のところに帰った。






帰ったはずなんだ。





なのにどうして、
その声は、
こんなに温かく俺の中に
入り込んでくるんだろうか?








「雪貴君、戻っておいで」







重なる声は
とても穏やかで
優しくて……。









ふと何か、
暖かいものが俺に
ポタリ……と触れた。






触れた気がして
ゆっくりと目を開いた。









「雪貴っ!!」




真っ赤に泣きはらして
涙でくじしゃぐしゃに濡れた
顔をした唯ちゃんは、
俺の名前を呼んで、
覆いかぶさるように
抱きついてくる。






唯ちゃんの
体温が触れる
その場所だけが
やけに暖かくて。








「おいっ。

 お前、こんなところで何してる?
 ちゃんと見ろよ」







えっ?
唯ちゃん?








戸惑う俺に、
何度も口調を変えないで
告げていく言葉。






俺の中に、
あの日の最初の出会いの記憶が
湧き上がってくる。





脳内に映るのは、
真っ暗な闇。




星空が
天(そら)いっぱいに広がった
美しい夜。




その夜、
命を閉ざそうとしていた
女の人。




それが唯ちゃん。




この美しい星空を
感じることすらも
出来ないのだと
そう思った。



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