愛して
「え…?」
「だから、俺にも彼女ができたって」
信じられなかった。
あの、彼女がいない歴年齢の博人に彼女ができるなんて。
少し頬を染めながら彼女のことを語る博人は生き生きしていて。
「でさ、バイト先であったんだけどね。話してるうちに仲良くなってさ。今度デート行くことになってるんだ」
幸せそうに言う博人に、なんだか、ムカついた。
「だからさ」と博人が続ける。
「俺、お前とあんまり会えなくなるんだ。前は、彼女いなかったし、バイトもそんなに入れてなかったけど。初めて守りたい、尽くしたいと思った女の子なんだ。これからはちゃんとバイトして、お金溜めたいしさ」
唐突に言われて、僕は其処に立ち尽くす。
毎日のようにあっていた友達と会えなくなる。
そう思うと不安なるのと同時に、僕と博人の会う時間を無くしたその女に腹が立った。
「…ごめんな?泪」
「ううん。大丈夫、彼女と幸せにね」
と笑むと博人は、恥ずかしそうにはにかむ。
すると、向こうで「ひろとー」と名前を呼ぶ声が聞こえる。
あれが、彼女だろう。
「ゆ、唯!ごめん、またね!泪」
僕の頭をくしゃくしゃと撫でると、博人は唯という女のもとに向かう。
幸せそうに去っていく二人。
僕の考えにも気づかずに。