副社長は溺愛御曹司
「なに考えてたか、だいたいわかるけどね」
「きっと、当たってます、それ」
元はと言えばヤマトさんが悪いので、堂々と言うと、彼の目つきが険しくなった。
ふうん、と言いながら、スーツを脱ぐ。
「まあ、いいけど」
「いいんですか」
言いながら、私のコートとジャケットも脱がせてくれる。
薄手のカットソーもはがされて、その下はキャミソールだけだった私は、すぐに肌があらわになった。
なんとなく、往生際悪くぎゅっと身体を縮こまらせると、腕のすき間から、鎖骨にキスをされる。
「仕方ないもん。いくら好きってくり返したところで、一朝一夕には、信じてもらえないだろうし」
「信じてますったら」
「いや、足りてない」
あ、そうですか。
けど彼の言いたいことも、なんとなくわかる。
女性に対してちゃらんぽらんであるという話を、聞く前から。
彼の、好きだという言葉を、丸ごと信じて舞いあがるには、私には確かに、何かが足りない。
そもそも、ヤマトさんが私の何を好きなのか、さっぱりわからない。
「あと、神谷さあ。前の彼と、長いだろ」
「そうですね、高校からなので…」
若干の抵抗もむなしく、ほとんど裸にされた私の身体に、ヤマトさんが優しく唇を落とした。
ネクタイを外し、シャツのボタンを開けながら、不機嫌なうなり声を発する。
「わかるものですか、そういうのって」
「なんとなくね。くそ、高校かあ」
長いなあ、とぼやきながら、ワイシャツとTシャツを脱いで、首筋にキスを落としつつ、私を抱きしめた。