副社長は溺愛御曹司


「堤と、同じ高校のご出身なんですね」



先輩の横に立った、秘書らしい女の子が、渡した私の履歴書を眺めながら微笑んだ。

私たち編集部員は、膨大な人数にインタビューに行き、限られた時間の中で、相手の個性や長所を引き出さなければならない。

もとから話すのが得意な人もいれば、打ち解けるだけで精一杯、みたいな人もいる。


なので、私たちは、まずインタビュアーのことを知ってください、という意味で、フランクに書きこんだ「履歴書」を渡す。

趣味や日常のことや、ちょっと笑えるようなエピソードなど、ここから会話が発展すればいいな、くらいの気軽な内容だ。


秘書さんに渡す必要はなかったんだけど、ちょうどコーヒーを持ってきてくれたタイミングだったのと。

先輩のシャイさが変わっていないのなら、彼の身内も巻きこんだほうが、手っ取り早く素の顔を見せてもらえるかと思い、渡した。

秘書さんは、控えめにそれを受けとると、礼儀正しく、興味深げに、隅から隅までそれに目を通す様子を見せてくれた。


言われて初めて気がついたのか、え、と先輩が履歴書をのぞきこむ。



「ほんとだ。何年卒ですか?」



そういえば、その履歴書に生まれ年は書いていない。

歳が近いことを見てとったんだろう、先輩があきれるくらい正直に質問すると。

秘書さんが慌てたように、ヤマトさん! と小声でたしなめたので、私はつい笑った。

先輩も、その質問のマナー違反に気がついたようで、あせったように、あ、そっか、と目を丸くする。



「失礼しました」

「お気遣いなく。私は堤さんの、ひとつ下です」



見るからにセンスのいい、モダンな調度で整えられた応接室で、低いテーブル越しに、にこりと笑いかけると。

その時になって、ようやくまともに私の顔を見てくれた先輩の目が、次第に大きく見開かれていった。


渡した名刺と、私を何度か見比べて、呆然と声を発する。





「…池田さん?」







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