Garnet~大好きの伝え方
今なら、春一番と一緒に旅立つタンポポの綿毛たちの気持ちが、とってもわかる気がした。

遠かった青空がぐんぐんと近づいて、清々しい風に吹かれながら遥か彼方の地平線に目を奪われる。

胸の中に湧き水のように溢れて、沸騰するみたいに踊り泡立つ、気色の感情。

時が時じゃなかったら本当に、ヨシの背中へしがみついているところだった。

実際は、胸の前で手を組んで、無理やりに自分を呆然とさせ、立ち尽くすことにがんばってる。

だって、まだヨシの言葉は終わっていなかったから。
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