トールサイズ女子の恋【改稿】
「そういえば聞いたんだけど、営業部の男子が別の部署の女の子と別れたって」
「うそ、あんなにお似合いだったのに」
「ね。結婚まで行きそうな雰囲気だったのにね」

 私の目の前で、社内恋愛事情が次々と話題にあがる。

 前の会社ではこっそりと付き合っていたのでバレてはいなかったけど、ここの社内恋愛はどうやらすぐ広がるみたいだから、交際が上手くいっていればいいけど拗れてしまうと居づらくなっちゃうのはもうこりごり。

 現に、私がそうだったもの。

「私はタウン情報部の姫川編集長が好みだなぁ」
「物好きだねー」
「普段は口調はキツイけど、笑っている顔とかみたらキュンとしちゃうかも」
「あー、ギャップ萌えってやつだよね。高坂専務は女性に慣れているっていう感じがするかな」
「分かります!外車に乗って、高級レストランで食事をしてそうですよね」
「それぞれの雑誌の編集長クラスはいい男揃いだし、狙っている女子も多そう」
「ファッション部の水瀬編集長も眼鏡が似合っていて格好いいし、経理課の部長は渋くていいですよね」

 さっきから続々と名前が出てくるけど、四つ葉出版社の編集長たちは女子社員に人気みたい。

「ほら、お昼は終わりだから仕事をしないと」
「はぁい」

 わいわいと恋話で盛り上がってたところを総務課の課長が強制的に終わらせ、私も午後からは備品をチェックしなくちゃ。
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