トールサイズ女子の恋【改稿】
 午後からは備品チェックのために私と木村さんで在庫室へ向かうと、中は備品が入った段ボールや本が棚に入っている。

「このリストの数と在庫室にある数を確認して、足りない分を発注する流れだよ」
「こんなにあるんですね」

 木村さんから手渡されたリストには使用する備品の項目がビッシリと数十枚あって、1つ1つチェックしていくのに時間がかかりそう。

「僕は別の仕事があるから総務課に戻るけど、何か分からないことは遠慮なく言ってね」
「はい」
「じゃ、また後で」

 木村さんは在庫室から出ていき、私はリストを見ながら備品のチェックを進めた。

 数を間違えてはいけないから、時間をかけて確認していく。

 ここには備品以外にも本があるし無造作に棚に入れられているから、いつかは整理しなくちゃいけないな。

「これで確認は終わり…っと」

 腕時計をみたら2時間が経っていて、結構時間をかけすぎたと反省して、私は在庫室を後にして総務課に戻った。

「おっ、星野さん、お疲れさん」
「高坂専務、お疲れ様です」
「今日の夜、星野さんの歓迎会をするから残業はしないでね」
「私のですか?」
「うん、そうだよ」

 私は新卒でもなくて途中入社なのに、歓迎会だなんて珍しいな。

 高坂専務がにこにことしながら返事をしていると、課長は呆れた表情で高坂専務を見る。

「高坂専務が飲みたいだけじゃないですか?」
「いいじゃん。社員との親睦を深めよーと思ってる、専務の優しさだよ?他部署の奴も呼ぶから、楽しもうね。店の詳細はまた課長経由で連絡するから」

 高坂専務はそれじゃあと手をヒラヒラと振って、総務課を出ていった。

 なんだか突然の展開になったけど、私を受け入れてくれているようで嬉しい。

「高坂専務がああ言っているし、残業はしないでピッタリに終わらせよう」

 課長の号令のもと本当に定時ピッタリに作業を終わらせて、私たちは高坂専務が指定した居酒屋に向かったのだった。

 他の部署も参加って言っていたし、どんな人たちがいるんだろうとわくわくしてきちゃった。
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