トールサイズ女子の恋【改稿】
 私は改札を出るとバックから手帳を取り出してメモのページを開き、そこには四つ葉出版社までの道のりを書いてある。

「ここを曲がれば…、あった」

 メモページを見ながら歩くこと数十分、四つ葉出版社のビルが見えてきた。

 今日は勤務初日とういうことで1階にあるロビーで総務課の人と待ち合わせをすることになっていて、入り口の前でスーツの襟を正してから中に入ってロビーに進むと、腕時計を見たら待ち合わせ時間の10分前。

 周りを見渡すとビルの中に続々と人が入ってきて、どの人もお洒落な服装で、私1人だけスーツだと浮いてしまうような気が。

 するとロビーの奥の廊下からスーツを着た男性が、私の方に歩いてくるからきっと総務課の人かな。

 身長は私と同じくらい…、身長コンプレックスがあると、どうしても相手の身長を測る癖が出てちゃう。

「お待たせしました、本日から入社の星野さんですね。僕は木村亮司(キムラリョウジ)と申します。総務課は人数が少なくて覚えることが多いけれど、総務課同士仲良くしてやっていこうね」
「おはようございます。本日から総務課に配属します、星野美空です。どうぞよろしくお願いします」
「じゃあ早速、総務課に案内するね」

 私を迎えに来てくれた木村さんがニコリと微笑み、木村さんって人当たりが良さそうだし、なんとかやっていけそうかも。
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