トールサイズ女子の恋【改稿】
 私は木村さんと一緒に総務課の部屋に入ると、木村さんは上座に位置する席に座っている男性に声をかけた。

「課長、今日から総務課に配属される星野さんです」
「星野美空です、本日からよろしくお願いします」
「こちらこそ、頑張ってな。しばらく木村が星野さんに仕事を教えるが、皆も今日から配属の星野さんをよろしくな」
「はい」
「星野さん、あっちの席にいこうか」

 課長から既に出勤している総務課の方たちに紹介され、そのあとは木村さんに連れられて席に向かうと私の席は木村さんの隣りで、向かいの席には女性社員も数人いるし、みんな仲良さそうにしていて雰囲気もいい。

 転職後の職場の雰囲気って、かなり大事だよね。

「ここでの仕事のやり方を説明するね」
「お願いします」

 私はメモとペンを用意して、木村さんから四つ葉出版社での仕事のやり方を教わる。

 四つ葉出版社の総務課の役割りは多岐にあり、私は新人なので郵便物の受け取りとその配布、備品の発注と管理を主にすることになって、その他は先輩たちの仕事のサポートに回る。

「これから社内を案内するから、行こう」
「はい」

 私たちは総務課を出て、先ずは階段を使って2階へと移動した。

 このビルにはエレベーターがあるけど、3階建てなので社員はほぼ階段を使っているとのことだ。

「ここの部屋は、四つ葉出版社が発行している雑誌を手がけている部署が集まっているよ」
「私、ここの『Clover』を読んでます」
「僕はスポーツが好きで、ここのスポーツ雑誌を読んで入社を決めたんだ。読んでいる雑誌の出版社で働けるなんて、とてもいいよね」

 木村さんはここで働くことが嬉しいようにいきいきしているから、なんだか私まで微笑ましくなってくる。

「中に入って、部署を案内するね」
「はい」

 ミーハーな気分は出しちゃいけないけど、普段から読んでいる雑誌の裏側をみれるのはちょっと嬉しいかも。
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