キスマーク
刻々と過ぎる時間。
こんな所で寄り道をしている場合じゃないのに、
どうして?
これ以上、強くヒロを突き放せない。
突き放さなきゃいけないことはわかってる。このままでは繰り返しだって。わかってるのに―…
「―…話って何よ」
ヒロに背を向けて、そう冷たく言う。
「シオリさん、こっち向いて」
「別にこのままでも話は出来るでしょ?」
「言ったでしょ?伝えたい事があるって。ちゃんと伝えたいから―…こっち、見てよ」
「……」
甘え上手……身体を重ねているときは、殆どヒロが主導権を握っているくせに。
こんな時は年下の顔を使うのね。
でも、結局、言う事を聞いてしまう私も私。
ゆっくりと向きを変えると、
「俺達の関係って、どんな関係?」
と、ヒロが口を開く。
「そんな下らない質問に付き合ってる暇―…ないんだけど」
「身体だけの関係?それなら俺はもっとシオリさんの事が知りたい」
「知ってどうするのよ……」
「ちゃんと向き合いたい。シオリさんと」