キスマーク



向き合いたい?



「向き合ってどうするのよ……」



向き合った先に何があるの?


ヒロとじゃ、霧がかかっていて見えない。



「ほら、またそうやって心をガードするんだね」


「ガードって何よ……」



「確かにあの日、シオリさんに声をかけたのは暇つぶしみたいなもので―…それなりに好みなら誰でも良かった」



そんなヒロの言葉に、



「―…知ってる」



と、答える私。



出逢いは飲み屋街でのナンパ。


軽いノリだったこと位、十分にわかってる。


わかってる、のに―…



胸に走る小さな痛み。



私だって軽いノリだったくせに、痛みを感じるなんてバカみたい。





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