キスマーク



「けど―…あの日、一晩一緒に過ごして、また会いたいと思った。会う度に惹かれていって、好きになってた。でも、俺なんてシオリさんから見ればガキだし言えなくて―…」



ヒロの口から伝えられた“好き”の言葉。



どうして、そこまでして私なんかを引き止めるの?


何で今さら、“好き”なんて言葉を伝えてくるの?


俺も遊びだったからって、軽く笑ってサヨナラしてよ。


そうしたら、私だって……


私だって、こんなに心が揺さぶられる事なんてないのに―…



「最後に会った夜、シオリさんに突き放されて、ずっと考えてた」


「……」


「考えてたけど、素直に気持ちを伝える以外の答えなんて出てこなかった」


“シオリさん”



今まで見たことなんか無い、切なげな眼差しでヒロは私の名前を呼ぶ。





< 194 / 207 >

この作品をシェア

pagetop