キスマーク
「けど―…あの日、一晩一緒に過ごして、また会いたいと思った。会う度に惹かれていって、好きになってた。でも、俺なんてシオリさんから見ればガキだし言えなくて―…」
ヒロの口から伝えられた“好き”の言葉。
どうして、そこまでして私なんかを引き止めるの?
何で今さら、“好き”なんて言葉を伝えてくるの?
俺も遊びだったからって、軽く笑ってサヨナラしてよ。
そうしたら、私だって……
私だって、こんなに心が揺さぶられる事なんてないのに―…
「最後に会った夜、シオリさんに突き放されて、ずっと考えてた」
「……」
「考えてたけど、素直に気持ちを伝える以外の答えなんて出てこなかった」
“シオリさん”
今まで見たことなんか無い、切なげな眼差しでヒロは私の名前を呼ぶ。