ダイス



彼女は頬のあたりにべっとりと血をつけて、ただひたすら震えていた。


大きな瞳に、整った顔立ち。


白い肌に赤い血がよく映えていた。


それが深水が初めて見た雪音の姿だった。


「俺が……殺しました」


彼は――新井太一、と名乗り、そう言った。


やはり態度は覚悟があるのだ。


深水はそう思いながら手錠を取り出し、理由は? と尋ねた。



「許せなかったから。雪音を借金の肩に無理矢理働かせて、違法な経営して」



新井はぼそぼそと語り続けた。


彼の話を要約すると、ここの店長は彼の恋人を親の借金の肩に無理矢理働かせ、名目はイメクラなのに客との性的行為まで強要していたということだった。


それなのに、借金があるから、と与えられる給料は極僅か。


怒りが溜まり、抗議しに来たが相手にされなかったので逆上して刺した。



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