ダイス




「え?」


深水は新井の言葉の意味が分からなかった。


「だから、俺は逮捕出来ないんですよ」


逮捕出来ない。


その言葉で想像出来るのは、彼が大物政治家や警察官僚の息子だということ。


確かに、彼の風貌はそうだと言われてもおかしくないものだ。


そういったことを分かっていて殺人を犯したということだろうか。


だが、大物の息子であれ、揉み消せるのは小さな事件くらいで人殺しともなれば話は別だ。


それとも、こんな風俗店の店長を殺したなどというこもは些末な、小さな事件なのだろうか。


「どういうことだ?」


結局答えは出ずに、深水は訊いた。


すると新井は急に虚ろな目になり、深水に視線を合わせた。



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