ダイス
深水と新井はその後について話し合った。
今思うと、何故見逃したりしたのか。
恐らく、今まで出会したことのない新井というタイプの人間に少なからず衝撃を受けていたのだろう。
新井は人を一人殺したにも関わらず、まるでそれを当たり前と思っているようだった。
殺されても仕方無い、ではなく、殺したことが当たり前だと言わんばかりの態度と表情だった。
そんな人間を目の当たりにすることは初めてだった。
取り敢えず新井が表にいる警察官と紗江子をどう切り抜けるか考えた。
現実味のない、まるで夢の中にいるような気分だった。
そんななかでも新井は淡々と、無に近い表情で深水と共に計画を立てていた。
良心の呵責、罪悪感。
彼からはそんなものは微塵も感じ取ることは出来なかった。
そして、そんな新井から感じたのは己が罪から逃げたいのではなく、恋人を巻き込みたくない、といったものだった。