ダイス
「《ダイス殺人事件》」
明良はストローを手にしながらぼそりと言った。
紗江子はその言葉に顔を上げる。
「ああ、過去の方ね。今のじゃなくて」
目の前にいる明良がつい先程までとは別人に思えてならない。
「あれね、俺がやったんだ」
続いた明良の科白は紗江子の心臓を強く跳ねさせた。
どくん、とも、びくん、とも違う。
初めての感覚に、紗江子は思わず胸を押さえた。
心臓が痛い。
そして今はどくどくという音を立てている。
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