ダイス


「《ダイス殺人事件》」


明良はストローを手にしながらぼそりと言った。


紗江子はその言葉に顔を上げる。


「ああ、過去の方ね。今のじゃなくて」


目の前にいる明良がつい先程までとは別人に思えてならない。


「あれね、俺がやったんだ」


続いた明良の科白は紗江子の心臓を強く跳ねさせた。


どくん、とも、びくん、とも違う。


初めての感覚に、紗江子は思わず胸を押さえた。


心臓が痛い。


そして今はどくどくという音を立てている。



.
< 157 / 265 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop