冷たいアナタの愛し方
「少しお酒を呑んだら酔っちゃったから酔い覚ましに散歩してたの」


「いくらここに人の出入りが無いとはいえ夜は危ないよ。気を付けて」


水をグラスに注いでオリビアに手渡したルーサーは、しなやかな手つきでグラスを受け取ったオリビアの所作にも注目していた。


微細な変化だが、表情も仕草も…オリビアではない。

かつて1度だけ、ローレンで様子のおかしなオリビアが戦っていたらしき場面に遭遇したが…まさかこれは、と不安が頭をよぎる。


「…今日は君を怒らせてしまったみたいでごめん。怒ってたでしょ?」


「そうね、あなたが私の気持ちをはぐらかすから」


「……え?」


ソファではなくベッドの上にとすんと座ったオリビアから距離を取って窓辺に立っていたルーサーが眉を潜める。

いつもはオリビアの傍にべったり居るはずのシルバーは何故か足元に居て、鼻の頭に皺を寄せていた。


「僕が…なんだって?」


「あなたが、私の気持ちを、はぐらかすから」


いちいち区切りをつけてはっきり聞こえるように発音したオリビアは、ぽかんとしたルーサーの顔を見てけたけたと笑い出した。


「ふふふふふっ、やっぱり気付いてなかった?私、あなたのことが好きなのよ」


「そ…そんなこと急に言われても…」


「急じゃないわよ、何度もアピールしてたわ。でもあなたが気付いてくれなかったから……いえ、あるいは気付いていたとしてもはぐらかそうとしていたのか…」


「……気付いてなかったよ」


「本当に?私は泣いたわよ。泣いて…可哀そうだったから、私はここへ来たの」


――オリビアが喋っているが、まるでオリビアではないような口ぶりでルーサーを翻弄する。


シルバーはずっと身を低くしたままオリビアを注視していた。



「君は……オリビアじゃないね?」


「あら…気付いていたの?」



汗が額を伝った。
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