「同じ空の下で…」


「…瞬、ごめん…。」

深呼吸をして、敢えて呟くように、私は口を開いた。

「…そうゆう意味じゃないよ。なんで艶香が謝るんだ…。」

「…なんとなく…ごめん。」

ずるい私は、瞬のアメリカライフを邪魔しているにも関わらず、身を引く覚悟なんて持ち合わせてなかった。

だって、瞬の事が好きだから、離れるような結果を…選べなかった。

他の誰かなら、多分それは出来たかもしれない。

『瞬』だからこそ…身を引くなんて、…自分から彼から離れようなんて…それが瞬にとって最善の策であると頭で理解していても、

そうしたくなかったのだ。


「…じゃあ、言う。俺も…ごめん。…寂しい想いをさせる結果になって…ごめん…。」



言われたくない。そんな言葉なんて、聞きたくない。



「…あやまら…ないでよ…。…そんな事言われても、許すなんて…できないし…。」


そう言うのが精一杯だった。

お願い、瞬。

こうゆう時こそ、私を抱きしめて安心させて欲しい。

手を握って…欲しいんだ。


余計な誰かの言葉が…頭を過る。




『僕が貴方を恋人とするなら、遠距離恋愛などという手段は選びません。離れる事など…選びませんよ。』


『僕なら、絶対に寂しい思いをさせたくない。そして自分も寂しさを感じるような事を敢えて選ばない』
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