「同じ空の下で…」
丘のふもとの小さなカフェを見つけ、そこに静かにバイクを止めると、私はまたヘルメットを悪戦苦闘しながら外した。
同じように、瞬もヘルメットを外す。
その時、偶然に目が合うが、私は何も言わず、にっこりと微笑んだ。
「…な、なんだよ?」
「何でもないよ。」
自然と緩んでしまう目尻と口元…。
緩めずには…居られない…────
「…さて、何して遊ぶ?」
大きな口で生姜焼き定食のご飯を頬張りながら、瞬が口を開いた。
「…浜辺に行こう、せっかくだから。」
ちょっとばかり塩コショウが利き過ぎた生姜焼きを口に含む手を止め、私は笑顔で瞬に返す。
片眉を上げて口角を上げながら笑う瞬は、
「そうだな。」
と言ってまた、ご飯を頬張った。
笑って居れば、瞬も笑ってくれている。
単純な事だというのに、どうして私には出来なかったのだろう。
食事を済ませた後に、浜辺を2人で歩いた。
夏の砂浜には夏休み中であろう小学生の姿や、大学生なのか男女入り混じった人々が夏の暑さを楽しんでいる。
「…平日だよな、今日。」
「うん。」
「…羨ましいな、ここの人たち。平日にこうやって遊べるなんてさ。」
「…そうだね、私も、水着とか持って来れば良かった。」
「いいぞ?そのまま泳いでも。服なんてすぐ乾くだろ?」
「…いやだよ。」