「同じ空の下で…」
「そう…?」
「充分過ぎる…。」
優しさに溢れるほどの瞬の右腕から伝わる体温が、私の頭を包んで居た。
自分の腕を瞬の身体に伸ばし、彼を抱きしめると、瞬もまたもう片方の手で私の身体を包みこんだ。
「…きっと、誰よりも一番近くで…御祖父さんは…瞬を見守ってる…。お兄ちゃんの事も…許せる日がきっと来る…。沢山、辛い事があって…瞬、大変だったね…。」
「ほんと…後悔するな…、艶香の事紹介しなかった事…。…近いうちに、俺の両親に会ってくれるか?」
「…いいよ…。」
「ありがと…艶香。」
髪の毛に口付けを繰り返しながら、瞬は今までに見た事も感じたこともないような程に優しく私を包みこみ、まるでガラス玉を扱うような手つきで私を撫でた。
伏せていた瞳を上げ、瞬の瞳と私の瞳との視線が絡まれば、頭への愛撫から、唇へと幸福を注ぎ込むようにして瞬は私の唇を塞ぎ、体温を与えた。
何度か、繰り返して重なり合い、時折見つめてはまた、抱き寄せられて…
瞬のしたいようにしていい…と、無抵抗で彼の行動に身を任せていた。
瞬は私の髪の毛を器用に指ですくい上げ、私の耳に絡めながら、また唇を重ねては離し、私を見つめるだけ見つめて、抱き寄せて…
そんな行動を何度か繰り返して居た。
何だか、自分が瞬の人形(もしくはオモチャ)にでもなったような気分にさせられるほどに、
大切に扱われているような気さえしてきた。