noir papillon
ハル達を背に立つカナメは瞳を閉じ深呼吸。
深く息を吐き瞳を閉じたその状態のまま迫り来る球体の対象を試みる。
何の呪文を唱える事も無く、魔法名を叫ぶ事も無い。
只其処に立ち、球体が直ぐ間近となった所で挙げた右腕を横へと振った。
「お見事。さすがと言ったところか」
カナメ達めがけ真っ直ぐ直進し続けていた球体は何かに導かれるかの如く方向転換。
カナメが腕を振った方向へと飛んでゆく。
その先に続くのは閑静な住宅が広がる町並み。
球体が通過したその付近はまるで元から何もなかったかのような錯覚を思わせる、荒れ果てた地へと変化していた。