noir papillon

 「へ……?」


 「成る程、魔法の構成を書き換え昇華させた か。相変わらず頭の回転の早いこと」


書き換えた?
昇華?


感嘆の声を上げ軽く手を叩くカナメに対し、パ ソコンを早打ちするリッカは舌を出す。


何が起きたか理解不能のハルは独りキョトンと し、2人を交互に見つめるのだった。




 「氷を形成する魔法式に手を加え、水蒸気へ と変化させる事により物質自体を消し去った。 全てと言っていい程の魔法の構成を把握してい る彼女だからこそ為せる技だ」


 「……」


返す言葉も見つからない。


彼は簡単な事のように、さも当たり前のように言ってはいるが、実際の所魔法式を書き換え構成を変化させるなんて困難。


いくら頭が良くてもそれとこれとは話が別だ。

出来る事と出来ない事がある。


なのにこんな幼い少女がそれを、平然とした表 情でいともたやすくやってのけた。



有り得ない…
魔法をかき消すなんて有り得ない…
有り得る訳がない…



信じたく無いと頭を抱え、瞳を閉ざし耳を塞ぐ ハルは現実逃避を試みた。











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