この恋は、絶対に秘密!
──ユ、ミ……?


その知らない女(ひと)の名前で、私は呪縛をかけられたように動けなくなった。


腕は岬さんに掴まれたまま彼の顔を呆然と目に映していると、その切れ長の瞳がうっすらと開く。

もう片方の手で目を擦り、眠そうな瞳で私を確認すると、「あれ……おかえり……」と呟いた。


そして私の腕を掴んでいたことに気付くと、一気に覚醒したようにパッと手を離して上体を起こす。



「え……俺、何かした……?」



何が起こったかわからない様子の岬さんに、私は無意識に口元に当てていた手を離して慌てて首を横に振る。



「あっ、いえ、何も!っていうか……事故です、事故!私がいけないんです!」



あまりの動揺でしどろもどろになる私に、岬さんは「事故?」と言って首を傾げる。

あぁ、バカだ私!黙っておけばいいものを……!


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