この恋は、絶対に秘密!
やり場のない苛立ちを抑え、俺は和久井さんに声を掛けた。

困っている彼女を助けてあげようという気持ちと、もうこの話を聞いていたくないという焦燥感を抱きながら。



「仕切りが九つに分かれてる折りをずっと前に使ったんだが……どこにあったかな」

「たぶん倉庫にあると思います。持ってきましょうか?」

「いや、俺も行くよ」



キョトンとする和久井さん。

それもそうだろう。俺は折りの保管場所も知っているし、一緒に行くほどのことではないのだから。


──ただ、無性に彼女といたくなっただけだ。



しかし、芽生えてしまった嫉妬心は消えることはなく。


「彼は有名人だから、あまり目立つような行動は避けた方がいいと思うよ。またさっきみたいなことになったら嫌だろ?」


なんて、偉そうなことを口にしてしまっていた。


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