この恋は、絶対に秘密!
たぶん今までの俺は、優海のことを言い訳にして恋愛から逃げているだけだったのだ。

俺の心を鎖で縛り付けていたのは、優海ではなく自分自身なのだから。



「……あぁ、もう言わないよ。臆病な自分とも今日でサヨナラだ」



そう言うと、美波ちゃんは満足げに笑って頷いた。



「そうですよ、好きならどーんとぶつかっていってください!
そんな英司さんをあの世で恨むほど、うちのお姉ちゃんは心狭くないですから」



あっけらかんと、そう言い放つ美波ちゃんには敵わない。

勝手な解釈だが、俺もそう思っていいか?優海──。


これまで優海の墓前では謝罪の言葉ばかりを繰り返してきたが、それももうやめよう。

伝えるべきなのは……



「……ありがとう、優海」



こんな俺を愛してくれてありがとう。

お前のことは、
お前がくれた愛は、一生忘れないよ。



秋の香りと共に俺の想いを乗せた風は、天高く舞い上がっていった。



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