この恋は、絶対に秘密!
汐美さんはいつもオーバーリアクションだけれど、あの焦り様からするととにかく私は急いで着替えなきゃいけないらしい。



「お嬢様、これをお召しになってください」



そう言われて目の前に差し出されたのは、淡いピンク色の胸元が適度に開いたパーティードレス。

光沢があって上品だけれど、ウエストに大きなリボンがついているから可愛らしくもある。



スーツを脱ぎそれを身に付けたものの、首から上は黒縁眼鏡を掛けたいつもの地味子。

オカシイったらありゃしない。


そんな姿を鏡に映しつつ、眼鏡と髪を結んでいたゴムを取ると、パーマの名残がまだ少しある長い髪の毛が肩を覆う。


後ろから鏡を覗き込んだ家政婦さんは、「あとは少しメイクをしましょう!」と張り切った様子で言い、私をドレッサーの前に座らせた。


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