この恋は、絶対に秘密!
良心を無視した私の言葉はナイフのように…

いや、野生の熊を捕獲するための銃弾のように宏典さんを撃ち込んでいるに違いない。



「お前は何てことを……!」



頭を抱えるお父さんの後ろでガックリとうなだれる宏典さんに、さすがに私も申し訳なくなりぺこりと頭を下げた。



「……ごめんなさい、宏典さん。
でも、あなたと結婚出来ないっていう意志は変わりません」

「瀬奈!いい加減に──」

「……僕も認められません」



──へ…!?


お父さんの言葉を遮り、低い地鳴りのような声が響いた。

そちらを見やると、今まで意気消沈していたはずの宏典さんが、獲物を見付けた熊のように鋭い目を私に向けている。


こ……怖っ……!!


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