この恋は、絶対に秘密!
岬さんは口に煙草をくわえたまま、しばし私を見つめてボソッと呟く。



「……猫」

「へっ?」

「気まぐれな猫みたいだよ、絵瑠ちゃんは」



そう言って、岬さんはふっと困ったような笑みを浮かべる。



「男慣れしてなさそうなのに男の家に泊まりに来たり、大胆なことを言うくせに顔赤くしたりして掴み所がなくて。

…でも何故かすんなり俺の懐に入り込んできて、そのまま居座られそうな気がする」



そんな意味深な言葉を口にして私に向けられた瞳は、なんだか憂いを帯びているように見えて──



「君はどことなく似てるんだな、アイツに──…」



絵瑠でも、瀬奈でもなく、
私を通して誰か全く別の人を見つめているような…

そんな切ない感覚がした。


< 82 / 387 >

この作品をシェア

pagetop