この恋は、絶対に秘密!
そして。

しばし無言の岬さんをチラリと見やると、彼はくしゃっと前髪に手を潜らせてはぁー…と盛大なため息をつく。


呆れられちゃった…?と思っていると、岬さんはゆっくり顔を上げて私に近付き、そっと両肩に手を置いて前を向かせた。


背中に掛かっていた髪の毛を、彼の手が肌を滑るように掻き分けてくれる。

その、背中を指先がなぞる感覚に、ありえないほど心臓が飛び跳ねた。



岬さんの指が触れているだけで
ゾクゾクして、ドキドキする。

……こんな感覚、初めて。



心臓をバクバクさせながらじっと待っていると、金具を外されたと同時に彼の声がすぐ耳元で響いた。



「……欲情したらどうするって言ったっけ?」


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