不誠実な恋
無言のまま俺達の横をすり抜けるように去って行こうとする美弥の腕を取り、何も言わずただその細い腕を痕が残るのではないかと思うくらいに強く握り締めた。

「美弥、明日の夜帰るから」
「もう帰って来なくて良いよ」
「ゆっくり話しよ。別れるんはそれからでも遅ない。黙って逃げるんは一番卑怯なやり方や」
「侑士に言われたくないよ」

ごもっともな言葉だ。けれど、それを素直に聞き入れて引き下がるほどいい加減な付き合い方をしていたわけではないし、かと言って本気で付き合っていたわけでもない。

「兎に角、今日は美雨と一緒にホテルに泊まるから」
「週末なのに?土曜の夜は家に帰るんでしょ?」
「前にも言うたやろ?家庭なんか如何とでもなる。って」
「ずるいよね、侑士は」
「俺はええ加減にお前と付き合うてたわけやない。せやから黙って逃げたりせんといて」
「汚いよ。あたしも侑士もその人も」

妻としての立場からそう言われるよりも、何倍も重く鈍い痛みが走る。
捨てきれるだろうか。と、少し緩めた腕の中からするりと美弥が逃げて行った。
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