不誠実な恋
「子供が…」
その後の言葉を紡ぐことなく泣き出してしまった美雨を腕に抱き、それまで存在すら忘れてしまっていたかのように無視をしていた美弥と一瞬だけ目を合わせる。
驚いた表情はしていたものの、その目はとても冷たくて。ふいっと背けられた横顔が、何も話しかけないでくれと声に出さない堂々たる主張を意味していた。
「出来たんか?子供」
「ごめん…侑士。ホンマにごめん」
「美雨が謝ることやない。それは俺の責任やから」
「でも…」
「潮時や。あいつかてわかっとる。大丈夫や。心配しぃな」
強く抱き締めるこの腕も優しく髪を撫でるこの手も、掛ける言葉でさえも全てがこの存在のためだけにある。
それを愛し、守り続けるために。そのためならば他に何を失っても良いとさえ思っていた。
裏切り続けているのも、傷付け続けているのもこの俺だというのに。
「あたしは…あたしはそんなん望んでへん。ただ…」
「もうええ。そんな嘘は聞き飽きた」
「嘘やない。あたしはホンマに…」
「我愛你。我永遠只持續愛你」
「侑士…」
「殺させへんで。今度は絶対に」
結局のところ、振り出しに戻っただけの話なのだ。
大告白劇を見せた未だ高校三年生だったあの日から、俺達は何も変わってはいない。
十五年以上も時が経ったとしても、この想いだけは褪せることなく未だ原色のまま色づいているのだから。
その後の言葉を紡ぐことなく泣き出してしまった美雨を腕に抱き、それまで存在すら忘れてしまっていたかのように無視をしていた美弥と一瞬だけ目を合わせる。
驚いた表情はしていたものの、その目はとても冷たくて。ふいっと背けられた横顔が、何も話しかけないでくれと声に出さない堂々たる主張を意味していた。
「出来たんか?子供」
「ごめん…侑士。ホンマにごめん」
「美雨が謝ることやない。それは俺の責任やから」
「でも…」
「潮時や。あいつかてわかっとる。大丈夫や。心配しぃな」
強く抱き締めるこの腕も優しく髪を撫でるこの手も、掛ける言葉でさえも全てがこの存在のためだけにある。
それを愛し、守り続けるために。そのためならば他に何を失っても良いとさえ思っていた。
裏切り続けているのも、傷付け続けているのもこの俺だというのに。
「あたしは…あたしはそんなん望んでへん。ただ…」
「もうええ。そんな嘘は聞き飽きた」
「嘘やない。あたしはホンマに…」
「我愛你。我永遠只持續愛你」
「侑士…」
「殺させへんで。今度は絶対に」
結局のところ、振り出しに戻っただけの話なのだ。
大告白劇を見せた未だ高校三年生だったあの日から、俺達は何も変わってはいない。
十五年以上も時が経ったとしても、この想いだけは褪せることなく未だ原色のまま色づいているのだから。