猫 の 帰 る 城





 *




「ずっと好きな人がいたの」



泣き疲れた小夜子を、僕はベッドに寝かせることにした。

セクシーなワンピースを脱がせ、寝間着に着替えさせると布団をかけてやった。
明かりを消すと、ベッドの傍らに座った。
目を腫らした彼女の額を撫でる。
すると彼女は僕の手を握った。


「ねえ、お願い」

「ん」

「一緒に寝て」


そう言った途端、彼女はつかんだ僕の手を引き、ベッドに引きずりこんだ。


「ちょっと」


返事なんてする暇もなく、僕の体は布団のなかだ。
そしてあっという間に下半身に彼女の長い脚がまかれ、捕えられてしまった。

小夜子は僕の胸に顔をうずめると、安心したように笑った。


「で、なに話してたっけ」

「…ずっと好きな人がいた」

「そう。それね」

僕の胸元で、彼女は大きく深呼吸した。

しばらく黙って、僕の胸の音を聞いたあと、彼女は口を開いた。








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