猫 の 帰 る 城
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「ずっと好きな人がいたの」
泣き疲れた小夜子を、僕はベッドに寝かせることにした。
セクシーなワンピースを脱がせ、寝間着に着替えさせると布団をかけてやった。
明かりを消すと、ベッドの傍らに座った。
目を腫らした彼女の額を撫でる。
すると彼女は僕の手を握った。
「ねえ、お願い」
「ん」
「一緒に寝て」
そう言った途端、彼女はつかんだ僕の手を引き、ベッドに引きずりこんだ。
「ちょっと」
返事なんてする暇もなく、僕の体は布団のなかだ。
そしてあっという間に下半身に彼女の長い脚がまかれ、捕えられてしまった。
小夜子は僕の胸に顔をうずめると、安心したように笑った。
「で、なに話してたっけ」
「…ずっと好きな人がいた」
「そう。それね」
僕の胸元で、彼女は大きく深呼吸した。
しばらく黙って、僕の胸の音を聞いたあと、彼女は口を開いた。