その恋、取扱い注意!
今日は少し高めのヒールを履いてきている。
湊は背が高いから釣り合うように。

更衣室を出ようとした時、バッグの中のスマホが振動した。

湊だ。

「もしもしっ! ごめんね。今行くからっ」

話ながら出入口に向かう。

『焦って転ぶなよ』

「そんな転ぶわけないじゃん。子供じゃないんだから」

通用口のドアを開けて通りに出ようとした時、何かにぶつかった。

「きゃっ!」

倒れそうになった所を、不意に伸びてきた腕に助けられる。

「だから言っただろ。焦って転ぶなよって」

私がぶつかったのは、湊だった。

「湊がそんなところに突っ立っていなければ、ぶつからなかったのっ」

湊はカジュアルなサックスブルーのジャケットに、ロールアップしたグレーのパンツ姿。
ファッション雑誌から抜け出したようなその姿に一瞬、呆けた私だった。

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