その恋、取扱い注意!
「ん? どっか痛めたか?」

「えっ? ううん」

我に返って、スマホをバッグの中にしまいながら、首を横に振る。

「行くぞ」

湊の手が私の手を握る。

本当にデートみたいだ。

大通りに出て歩きはじめると――

「湊!?」

目の前に松下さんが目を大きくさせて、ぎょっとする表情で立っていた。
その視線が、ゆっくり私たちのつないだ手の方へ移る。

「あ!」

私は小さな声を上げて、湊の手から離れようとした。
その手がギュッと力強く私の手をひっぱる。
かえって強く握られて、離れられなくなる。

まずいんだってば!

松下さんの表情が、みるみるきつくなっていくのが分かる。

絶対に後で、呼び出しをくらっちゃうよ。

私の背中に冷たいものが走る。

「仲が良いのね?」

その言葉さえも嫌みに聞こえてしまう。
きっと私の顔、引きつったようになっているかも。

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