その恋、取扱い注意!
「どうりでいつもと目線が違うと思った」

「ね、どこに行くの?」

「食事以外に、なにをするって言うのかな? ミミちゃん? さっさとラブホに行く?」

「湊っ!」

からかう湊に思わずバッグで叩こうとした。

「冗談だよ」

湊は楽しげに笑って、降参するように両手を上げた。

「腹が減ってるんだ。早く行くぞ」

再び湊が歩き出した。

向かった先は、会社と反対側の最近オープンした高層複合施設だった。

7階にあるフランス料理店。

「ここって高いんでしょう? いいよ。ここじゃなくても」

「お前な、男に恥かかすなよ」

湊は中へと進んでいく。

入った所でタキシードを着たジェントルマンが「いらっしゃいませ」と優雅に頭を下げる。

「予約した本田です」

予約してたんだ……。
こんなこと初めてだな。

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