その恋、取扱い注意!
「湊っ? どうしたのっ?」

「カップルの疑似体験をさせてやろうかと思ってな」

「むぅ。カップルの疑似体験って……」

甘いチョコの香りのする唇を尖らせ、頬を膨らませる。

「いいから。いいから」

肩に腕を置いて自宅へ向かった。

「お前さ、何かあったら相談しろよ」

「え? 何かって? 何もないよ……」

思い出さないのか、隠しているのか……。

ミミは無邪気に首を傾げて俺を見ている。

「何かあったら、じゃなくて、ある前に言えよな」

「変な湊。わかった……あ!」

自宅の門前だった。

「じゃあね。湊、ありがとう」

「オヤスミ」

「おやすみなさい」

門扉を開けて玄関の前で振り返ったミミは、にっこり笑って中へ入った。

辺りを見回したが、高野の気配は消えていた。


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