あふれるほどの愛を君に

「ピンポーン」


間延びしたチャイム音が背中で鳴った ── 気がした。


「……」

「……」


いや、確かに鳴ったようだった。


「ねぇ、いまチャイムの音しなかった?」

「うん……聞こえた」


こんな時に正直に即答してしまう僕は、バカかもしれないけど。


「まさか…」

「その ”まさか” だと俺は思うけどね」


でも例え、嘘をついて聞こえないふりをしたとしても、それは恐らく無駄な行為だ。

っていうか無駄な抵抗?


「ピンポン!ピンポン!ピンポン!ピンポン!ピンポーン!」


ほら、あの女性(ひと)からは逃げられない。


「ピンポン!ピンポン!ピンポン!ピンポン!ピンポン!……ピンポーン!」


絶対に逃れられないんだよね。

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